レンズのアイリスには F 値と T 値がある。これだけだと何のことだかわからないかも知れないが、レンズの明るさ表記に F2.8 や F4 などという数値は見たことがあるだろう。
これが F値だ。
同じく、こちらは見たことがあまりないかも知れないが、T3 などという表記もある。
F で表す場合と T で表す場合の違いは、単体の露出計を使った場合に注意しなければいけない点だ。
カメラ内蔵の露出計ではなく、単体の露出計を使って出た数値をそのままあてはめても必ずしも狙いどおりの露出にならないことがある。
それは F 値と T 値を理解していないからだ。
ずばり書くと F値というのは理論上の値であり、T 値は実絞りである。レンズにはファクター(露出倍数)というものがあり、レンズというのは光を通して撮像素子(CMOS など。フィルムでも同じ)に到達するときには光の量が落ちている。これがファクター(露出倍数)となり、F値と T値の違いとなる。
例で出した単体露出計で出た数値をそのまま F値に当てはめるといけないというのは露出倍数(ファクター)が考慮されていないからだ。
露出倍数はレンズによって違うので一概にはいえないが 1/3 stop 程度だろうか。
つまり F2.8 のレンズは T3.2 に相当するといっても良い。
スチルレンズが F値で表記されているのに対してシネレンズは T値で表記されているので、中身が同じ製品にも関わらず、開放値などが違っているものがある。
例えば、Tokina の場合、開放 F2.8 のスチルレンズが、シネレンズになると T3 が開放になってしまっている。
しかし、それは T3 のレンズの方が暗いという意味ではなく、両者は表し方が違うだけで実際は同じ開放値である。
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レンズの F値と T値の違い
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